田中動物病院ブログ VET'S NOTE

【症例紹介】骨折

2018年09月24日 カテゴリ:田中動物病院ブログ

骨折について

犬の骨折と言えば、橈尺骨(前腕部の骨)骨折

と言っても過言ではないくらいに最も一般的な骨折になっています。

折れてしまう子は、元気活発若い犬での受傷が目立ちます。

 

原因

多くは飼い主の手元から飛び降りた、

ソファやベッドから飛び降りたなどの転落が原因です。

小型犬種の人気は今も昔も変わらないですが、

マルチーズシーズーなど

小柄ながらにも『骨太』の犬種から、

トイプードルチワワポメラニアンなどの

相対的に脚が長くて『骨細』の犬種への人気の変化も

このような小型犬の前腕骨折に関する原因のひとつとなっています。

 

骨折しやすい部位

骨折部位は解剖学的形態および力学的特性の観点から見て、

橈骨遠位1/3(手首から近い)に集中する傾向がにあると知られています。

 

骨折しやすい理由

ある研究において、CT画像検査をして骨密度を測ったところ、

トイ犬種はビーグルよりもその部位における骨密度が有意に高く

硬くて骨に柔軟性が無くたわみにくいため

パキッと折れやすいという結果が出ております。

 

治療法

髄内ピン法創外固定法プレート法がありますが、

髄内ピン法については骨の細さや骨の湾曲によりピンが上手く骨髄内に入らず、

変形癒合(曲がってくっついてしまう事)や癒合不全(くっつかない事)などが多いため、

オーストラリアでは法律上厳禁とされています。

ケースバイケースではありますが、当院では通常、プレート法による整復術を選択しております。

 

管理

骨折整復術を行った後に、適切な術後管理、

疼痛管理(術前疼痛管理には、神経ブロックをして痛みの少ない手術を目指しています)、

リハビリテーションを行わなければ、再骨折癒合不全遅延を起こす可能性は高くなるので注意が必要です。

 

症例紹介

トイプードル、2キロ、2歳。正月にソファからの転落により右前腕部を骨折。

この子もよく当院のインスタグラムに登場する子です。

赤丸の好発部位における骨折が分かると思います。

必要なインプラントを発注してすぐに手術しました。

遠位端骨折の場合にはT字プレートを用います。その方が固定力が強くなるので。

 

 

 

約3ヶ月後、骨折線が消失したため、スクリュー(ネジ)の抜去を行いました。

一気に抜くと沢山の穴が残り、全体的に骨が弱くなり再骨折する恐れがあるので、

段階的に少しずつ抜いていきます。

 

 

4ヶ月後、抜いた部分の穴が骨が生えてきて完全に埋まった事を確認して、

プレートごと全て抜去しました。

 

 

よく、そのまま固定したままで良いのでは?と聞かれるのですが、

プレートやスクリューは異物であり、

また強固に骨を固定し過ぎても、骨は癒合せずに痩せてしまいます。

骨が生えるには少しの刺激(体重負荷など)が無ければいけない事が知られているため、

敢えて不安定性を作っていく事が逆に骨を生やす治療法になるわけです。

 

全ての手術終了後の様子がこちら

 

元気に走ることが出来て、飼い主様も満足されているようでしたので、良かったです。

 

 

 

 

☆最後まで読んでいただき、ありがとうございます。この記事がいいね!と思ったら、シェアお願いします。
このページの上部へ