田中動物病院ブログ VET'S NOTE

【猫カフェ】獣医師が教える猫パルボ【ウイルス感染】

2018年08月09日 カテゴリ:田中動物病院ブログ

猫カフェ

獣医師としては、仕事上毎日ネコと触れ合っているため、

敢えて休日に猫カフェに行ったりしたことはないですが、

やむを得ない事情で飼いたいけれども飼えない人や

飼っているけれども洋猫に触れてみたいなど猫好きな人にとっては、

利用する事もある場所なのではないでしょうか?

先日、都内のある猫カフェ猫パルボウイルス蔓延が起こり、

その経営者の取った対応やそれに対する内部告発もあって、

ネット上で大変話題になったのは記憶に新しいと思います。

また、この騒動をキッカケにしてその他の猫カフェに対する風評被害も出ていたり、

その反面、『これは氷山の一角に過ぎない』という意見も出てきたり…。

その猫カフェは今は営業停止しており、全頭検査店舗の消毒を行い、8月8日頃に営業再開するとの発表をしたとのこと。(8/9現在、再開延期中)

再開を予定している現在、再びこのようなことが起こらないようにして頂きたいと同時に、

この感染症について猫飼い主様へ向けて、まとめていきたいと思います。

 

猫パルボウイルス感染症

<特徴>

教科書等では、『猫汎白血球減少症』と記載されていることが多いです。

その他に、猫ジステンパー猫伝染性腸炎とも呼ばれています。

死亡率が高い感染症のひとつで、症状の進行が早く、急死することがあります。

多くは、ワクチン接種猫で発生します。

 

<原因ウイルス>

原因ウイルスは猫汎白血球減少症ウイルスパルボウイルス属に分類されます。

そのため、猫パルボと呼ばれることが多いです。

パルボウイルスは、アルコールなどの一般的な消毒では不活化出来ず、次亜塩素溶液のみ有効です。

また、環境中では、4~25℃では13カ月感染力の低下が起こらなかったというデータもあるほどやっかいなウイルスです。

環境中で死滅しにくいため、人やノミなどに付着・媒介して感染してしまいます。

つまり、消毒などの衛生管理だけでは正直どうにもならないわけです。強すぎます、感染力も防御力も。

一度汚染された環境下では免疫力の低い動物は次々と感染していきます。

 

<感染経路>

どのように感染していくかというと、

①垂直感染(子宮内感染)

②経口感染

があります。

①は妊娠猫が感染していたパターン。生まれてきた子猫は小脳眼球異常をきたしてしまいます。

②は生後に感染するパターン。感染した猫の排泄物からウイルスが排出され、

口や鼻を介して咽喉頭粘膜のリンパ組織で増殖し、血流にのり、

ウイルス血症として全身へ運ばれます。ウイルスは細胞分裂が盛んな腸粘膜骨髄で爆発的に増殖します。

 

<症状>

潜伏期間は2日~10日くらいです。

感染初期は発熱、食欲不振、元気消失、嘔吐に始まって、トマトジュース様の血便を呈します。

血液にて白血球減少が起こり、それによる二次感染を起こし、敗血症に至り、多臓器不全で死亡します。

また、心臓で爆発的にウイルス増殖を起こし、心不全により突然死することもあります。

 

<治療>

特効薬はないため、対症療法しかありません。

猫の免疫力を調節するものとして、ネコインターフェロンを投与することがあります。

そのため、ワクチンの予防接種が非常に有効と言えます。

 

ワクチン接種

AAFP(全米猫獣医協会)およびWSAVA(世界小動物獣医協会)のガイドラインによれば、

①生後6~8週に1回目接種

②2~4週開けて2回目接種

③生後16週以降で最終接種

④その後は1~3年の間隔で再接種

とあります。よくネットには3年に1回でいいと書かれていますが、

日本においては毎年の接種をしていた方が良いように思えます。

というのも、アメリカの接種率は83%、ヨーロッパ圏ではフランスの接種率は68%と高く、

しっかりと予防されているので、そもそもこの感染症と遭遇する可能性が低いからです。

それに対して日本の接種率は25%と低いため、この感染症と遭遇する可能性が高いので、

この世界のガイドラインと同じ目線では語ってはならないバックグラウンドが存在します。

また、この3年に1度の接種というのも、3年に1度病院に行くのではなく、毎年ワクチンの効果があるかどうか(抗体価の)チェックをしています。

もちろん、検査費用が掛かってます。

猫のワクチン接種は、犬の狂犬病ワクチン接種のように『狂犬病予防法』による『義務』ではなく、

『家庭動物等の飼養及び保管に関する基準』(環境省)にある『努力義務』なので、最終的には飼い主様が決定することです。

 

まとめ

完全室内飼いであっても飼い主様が外界から(猫カフェ以外からも)ウイルスを持ち込み、感染を引き起こす可能性があるので、ワクチン接種はしっかりと行いましょう。

 

 

 

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