田中動物病院ブログ VET'S NOTE

今知っておくべき!アポキル錠

2018年08月06日 カテゴリ:田中動物病院ブログ

・はじめに

先日、アジア獣医皮膚科専門医の先生による皮膚科セミナーに参加してきました。

日本で販売3年目を迎えた痒みを抑える薬の一つであるアポキル錠のお話でした。

当院でも使用しており、その効果を実感している治療薬です。

今回は、セミナーのまとめと復習を兼ねて書いていこうと思います!

 

 

・アポキル錠って何?

アポキル錠とは、犬アトピー性皮膚炎の痒みを抑える目的としてゾエティス社から販売されている犬用治療薬です。

アトピーとは、遺伝によって慢性的に痒みを起こしてしまう病気であり、

皮膚のバリア機能の低下などにより、環境アレルゲンに対してアレルギー反応を起こしやすい状態にあります。

アトピー治療の柱には….

・アレルゲン暴露の回避、

・スキンケアによる皮膚バリア機能の強化、

・悪化因子(脂漏、精神的要因、二次感染症)の除去、

・抗炎症薬による痒みの抑制

が挙げられます。

痒がって掻きむしったり、痒みからくるストレスが特に問題となるため、抗炎症薬による痒み止めが重要になります。

痒みが酷くて、夜も寝られないなんてワンちゃんも珍しくありません。

見ている方も辛い気持ちになるため、一刻も早く痒みを抑えてあげたい時に有効なのがアポキル錠です。

 

 

・アポキル錠の特徴

アポキル錠の有効成分はオクラシチニブと呼ばれるものです。

アポキル錠は、痒みを起こさせるサイトカイン※であるIL-31を阻害することで痒みを抑制します。

(※細胞から細胞へと命令を伝えるタンパク質のこと。)

特徴としては、アトピー治療に使われるステロイドやシクロスポリンに比べて副作用が出にくいと言われています。

アポキル錠における、主な副作用は下痢と嘔吐で、それぞれ4%程度と報告されています。

長期使用で脱毛、肝酵素上昇、多飲多尿などが起きるステロイドや、

投与後嘔吐することが多いとされるシクロスポリンと比べると安心して使用することができると言えます。

また、効き始めるのが速く、投薬から4時間で痒みが収まり始めると言われています。

 

 

・アポキル錠の適用

上述の通り、アポキル錠はアトピー治療薬としての使用を目的としています。

基本的には脱毛、紅斑といった軽症例、および色素沈着、苔癬化(皮膚が象のように固くなった状態)といった重症例のどちらにも効果が期待されると言われています。

アトピー治療薬とピンポイントな使用であるため、他の痒みがある疾患との鑑別が重要になっています。

 

 

・アポキル錠と他剤との比較

アポキル錠とステロイド、シクロスポリンの痒み抑制効果はほぼ同等とされ、

効き始めるまでにかかる時間もステロイドとほぼ同等であるとされます。

なおかつ、ステロイド、シクロスポリンに比べて、

投与開始時期ならびに長期投与による副作用は少ないとされています。

しかし、欠点もあります。

アポキル錠には、厚くなった皮膚を元の健康な皮膚に戻すことやアトピーの併発症として多い外耳炎を治す効果は弱いとされてます。

また、アポキル錠の値段がステロイドと比較して高価であることも欠点ではあります。

アポキル錠はステロイド、シクロスポリンに取って代わる治療薬というよりも、

症状によって使い分ける新しい選択肢という立ち位置であると言えます。

 

 

・アポキル錠の現状

アポキル錠は、アトピーの痒みをピンポイントで抑制し、速効性があり、副作用も少ない治療薬です。

しかし、日本で正式に使用が開始されてから今年で3年目と日が浅いため、様々な報告がされるようになりました。

多いものとして、アポキル錠では痒みが収まらない場合です。

重症例の中でも、脂漏と呼ばれる皮膚が脂でベトベトになっていたり、外耳炎を起こしているなど、皮膚環境が悪い状態が背景にある場合で報告されています。

このような場合では、シャンプーやサプリメントによるスキンケアや外用薬を組み合わせて治療することが推奨されます。

また、アポキル錠の長期使用のデータが集まりつつあり、安全な使用法、適切なモニタリングの頻度も報告されるようになりました。

 

 

・まとめ

アポキル錠は、副作用が少なく安全性が高く、痒みをすばやく抑える治療薬で、やや高価である。

また、使用データが集まり、アポキル錠の効く症例、効かない症例が報告され、対処法も同時に編み出されている。そして、長期使用のコツも報告されています。

 

 

・おわりに

当院でも日頃使われているアポキル錠、使用感もよく、効果を実感しております。今回のセミナーを受けて、さらにアポキル錠への理解を深められたと感じています。

そして、痒みに苦しむワンちゃん達、それぞれにあった治療法をご提案できるよう努めてまいります。どうぞ、お気軽にご来院ください。

 

 

 

 

☆最後まで読んでいただき、ありがとうございます。この記事がいいね!と思ったら、シェアお願いします。
このページの上部へ